「引き寄せの法則」「波動が高い」という言い方は、いま日本語のなかで広く使われています。この言い方が、いつ、どこで、誰の書いたものとして現れたのかを、刊行年と版元をつけて並べます。退けるためではありません。ほかの立場には原典の章節をつけているのに、ここだけ出典を書かないのでは、扱いがそろわないからです。
並びは成立の古い順で、重要さの順ではありません。全文がインターネット上で読めるものが多く、原文にあたれます。
源流とされるクインビーの遺稿集で「振動」の語が出てくるのは脈拍を指す一箇所だけです。この潮流の代表作とされるトライン『In Tune with the Infinite』(1897年)には一度も出てきません。ブラヴァツキー『The Secret Doctrine』(1888年)でも四箇所にとどまります。
いっぽうエヴァンズ『The Mental Cure』(1869年)には三十三箇所、セグノ『The Law of Mentalism』(1902年)には三十五箇所あります。「波動」は系譜の最初から通っている語ではなく、一八六九年に現れ、一九〇〇年代初頭に定着した語です。
この節は、書物の全文にあたって語の数を数えた結果です。系譜を一本の線として描くと、途中で入った言葉を最初からあったように見せてしまいます。
よく流布している年のうち、二つは一次の書誌で裏づけが取れませんでした。そのまま書きません。
図書館の目録でたどれる同名の本は、いずれも二十世紀に入ってからのロンドン版です。1889年は、もとになった連載の発表年に由来する可能性があります。確認できた範囲=米議会図書館・ハーヴァード大学の目録
復刻版の記載が1916年と1917年に割れており、図書館が所蔵する最も古い版は1919年です。通信講座が先という点は一致しています。確認できた範囲=米議会図書館・ハーヴァード大学の目録
この節は、読者に見える形で置いています。どこまで確かめたかを隠さないことが、引用される条件だと考えています。
| 出典 | 使った箇所 | 状況 |
|---|---|---|
| 『The Quimby Manuscripts』ホレイショ・ドレッサー編 1921年 | 01節 | 全文と編纂の経緯を確認 |
| ウォレン・エヴァンズ『The Mental Cure』1869年 第5章 | 01・02節 | 全文で語の数を確認 |
| オルコット会長就任演説 1875年11月17日 | 01節 | 一次資料を確認 |
| マルフォード『White Cross Library』1886〜1891年 | 01・03節 | 刊行の形態を確認 |
| H・P・ブラヴァツキー『The Secret Doctrine』全2巻 1888年 | 01・02節 | 初版の扉で確認 |
| A・V・セグノ『The Law of Mentalism』1902年 | 01・02節 | 全文で語の数を確認 |
| W・W・アトキンソン『Thought Vibration』シカゴ 1906年 | 01節 | 奥付と目録で二重に確認 |
| W・D・ワトルズ『The Science of Getting Rich』1910年 | 01節 | 書誌番号まで確認 |
| C・F・ハアネル『The Master Key System』1912年/1919年 | 01・03節 | 書籍化の年は確定できず |
| ナポレオン・ヒル『Think and Grow Rich』1937年 | 01節 | 初版の版元を確認 |
| E・ヒックス/J・ヒックス『The Law of Attraction』2006年 | 01節 | 書誌と邦訳を確認 |
| ロンダ・バーン『The Secret』2006年 | 01節 | 書誌と邦訳を確認 |
| トライン『In Tune with the Infinite』1897年 | 02節 | 全文で語が無いことを確認 |
| 国立国会図書館サーチ(書名「引き寄せの法則」全件) | 01節 | 130件を刊行年順に確認 |
| ベリル・サッター『Each Mind a Kingdom』1999年 | 参考 | 研究書として書誌を確認 |
| キャサリン・アルバニーズ『A Republic of Mind and Spirit』2007年 | 参考 | 研究書として書誌を確認 |
どこから来たかが分かることと、その内容が正しいかどうかは、別の話です。このページは前者だけを扱います。後者は判定しません。
ほかの問いのページでは、それぞれの立場に原典の章節をつけています。現代の言説にだけ出典をつけないでいると、同じ体裁で並べたことになりません。同じ扱いをするために、来歴をたどりました。